ドメインの歴史:数字の羅列からブランドの象徴へ
今や私たちの生活に欠かせないドメイン名。しかし、この便利で分かりやすいインターネットの「住所」が、どのようにして生まれ、進化してきたのかをご存知でしょうか?その歴史は、インターネットそのものの発展と密接に結びついています。
かつてインターネットは、一部の技術者だけが使う、数字だらけの世界でした。そこから、誰もが「edomain.jp」のような人間にとって分かりやすい名前でウェブサイトにアクセスできるようになるまで、ドメインの歴史は数々の革新と進化のドラマに満ちています。
黎明期:ドメイン名がなかった時代(~1980年代初頭)
インターネットの前身である「ARPANET」が登場した初期、コンピューター同士が通信するには、相手のIPアドレス(例:192.0.2.1)を直接指定する必要がありました。
この不便さを解消するために開発されたのが「HOSTS.TXT」というファイルです。これは、IPアドレスとコンピューター名(ホスト名)を対応づけるリストで、いわばインターネットの「電話帳」でした。
しかし、ネットワークに接続されるコンピューターの数が急増するにつれ、この手動更新方式は限界に達します。1つのファイルで世界中の端末情報を管理するのは、非現実的となったのです。
DNSの誕生:インターネットに革命が起きた日(1983年~1985年)
この問題を根本的に解決したのが、1983年にポール・モカペトリス氏によって考案されたDNS(ドメイン・ネーム・システム)です。
DNSは情報を分散管理する階層的なシステムを採用し、ネットワーク規模の拡大に柔軟に対応できる仕組みを実現しました。
DNSの誕生とともに、最初のトップレベルドメイン(TLD)も登場しました。
- .com(商用)
- .net(ネットワーク関連)
- .org(非営利組織)
- .edu(教育機関)
- .gov(米国政府機関)
- .mil(米軍)
記念すべき世界初のドメイン名は「symbolics.com」。1985年3月15日に登録され、現代のドメイン時代の幕開けとなりました。
商用化の波とドットコムバブル(1990年代)
1990年代、World Wide Web(WWW)の登場により、インターネットは一気に一般社会へ普及します。
当初は米国科学財団(NSF)がドメイン登録を管理していましたが、1995年にネットワーク・ソリューションズ社(NSI)に管理が移行され、商用登録が本格化しました。
この移行を契機に企業の間で.comドメインの取得ブームが起こり、いわゆる「ドットコムバブル」が発生。ドメイン名は単なる識別子から、ビジネス資産や投資対象へと変貌を遂げました。
ICANNの設立と秩序の形成(1998年~)
ドメイン市場の加熱とNSIによる独占状態に対し、公平なインターネット資源管理が求められるようになります。
その結果、1998年に非営利団体ICANN(アイキャン)が設立されました。ICANNは、
- ドメイン登録事業者(レジストラ)の認定制度を導入
- 価格競争とサービス多様化を促進
- ユーザーにより多くの選択肢を提供
こうしてドメイン市場に秩序と健全な競争がもたらされました。
新gTLDと日本語ドメインの登場(2012年~現在)
インターネットの急拡大により、.comなどの既存TLDでは希望のドメインが取りにくくなりました。
この課題を解決すべく、2012年にICANNは「新gTLDプログラム」を開始します。
これにより、
- .shop
- .tokyo
- .blog
など、1,000種類以上の新しいgTLDが誕生。Punycode技術の進化により「日本語ドメイン」など国際化ドメイン名(IDN)も普及し、より多様な表現が可能になりました。
まとめ:ドメインは単なる住所ではない
今回の記事では、ドメインの誕生から現在に至るまでの歴史を振り返りました。
- ドメインは「HOSTS.TXT」という1つのファイルから始まった。
- 1983年のDNSの発明により、現代の仕組みが確立された。
- 1990年代の商用化で、ドメインはビジネス資産となった。
- 1998年のICANN設立で、公平な市場が実現。
- 新gTLDとIDNの登場により、ドメインの世界はさらに拡大している。
ドメイン名は今や、企業のブランドや個人のアイデンティティそのものです。edomain.jpは、この長い歴史を踏まえ、皆様の大切なデジタル資産を未来へとつなぐお手伝いをいたします。